・小説: 桐生 様
・挿絵: 都積せいや
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どうすれば私は、あの人みたいに綺麗になれるのかな。
嫌味に聞こえてしまうかもしれないけれど、私はずっと可愛いとは言われてきた。
「アテナちゃん、可愛いよね」
「昨日のMステ見た?やっぱアテナは、可愛いよなあ」
「麻宮さんって可愛いから、俺なんかとは不釣合いかもしれないけれど・・・あの、付き合って下さい」
様々なシチュエーションで、様々な相手に言われてきた。
可愛い。
そう言われるのは、嬉しい。
でも、私はやはり、綺麗になりたかった。
KOFに参加して初めの数年、私の衣装は地味だった。
ううん。
有体に言って、ださかったとさえ思う。
中国奥地の田舎娘。
垢抜けなさを、全身で表現していた。
あれでアイドルを名乗っていた自分が、今では恥ずかしい。
葬ってしまいたい過去だ。
以来私は、綺麗になりたい一心で年々露出を増やし、色っぽくなるよう思案してきた。
今年2001年は、肩出しのこの衣装。
足元もロングブーツでセクシーに決めているつもり。
でも、駄目。
みんなが私にかけてくれる言葉は、昔と同じ。
「アテナちゃん、今年も可愛いね」
だから私は、あの人に、モリガンさんにお願いしたの。
「私を綺麗にして下さい。何でもしますから」
<1st DAY> 〜出会い〜
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