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<30st DAY> 〜臨月〜
「ああっ!うああああぁぁっ!!」
お腹が破砕してしまいそうな感覚に、私は苦悶していた。
口からは涎を垂れ流し、顔は滝のような汗に覆われている。
腹部は醜く膨れ上がり、身に着けた衣服は汗と体液と粘液にまみれ、もはや清潔などという言葉からは程遠い。
「もう一ヶ月になるのね。ほとんど不眠不休で、貴女を犯し続けて」
モリガンさんが、身体から生やした触手で私の生殖器を突き上げる。
「おうっ!・・・おうおおおおおぉっ!!」
あの日から、彼女は私を犯し続けた。
身体の一部を触手に変幻させ、突き、嬲り、こねくり回し、幾度と無く私の中で射精した。
「あうっ!・・・ひぐっ!・・・そこ・・・そこぉぉぉ!・・・ふうううぅっ!!」
「痛い?でも、気持ちいいんでしょ。あそこもお尻もおっぱいも口も、耳の穴まで刺激されて天にも昇る心地じゃなくて?」
彼女の甘い声が、私の理性を溶かしていく。
自分が、闇に堕して行くがわかる。
しかし、それでも構わなかった。
私は、綺麗になりたい。
綺麗になりたいの。
そして一ヵ月後、私は、美に執り付かれた怪物と成り果てていた。
全身を触手に絡み取られ、それらがもたらす粘液に身を委ね、嬌声を上げる毎日だった。
「おうっ!・・・おほっ・・・うふうううううぅっ!!」
獣とも人外ともつかぬ奇声を発する私。
痛みと歓楽と、美へ近づいているという充実感が、私の身体を席巻していた。
「さあ、アテナ。いよいよ、貴女が最も綺麗になる瞬間よ」
モリガンさんが、私のお腹に指を這わせる。
「うあっ!・・・おおう・・・は、はい・・・」
ようやく。
漸くやってきたんだ。
私が綺麗になれる瞬間が。
下腹部が、もぞもぞと動いている。
子宮から、何かが出てこようとしている。
人の子ではない。
私は、この触手の子を孕んでいるのだ。
「さあ、踏ん張って。辛いだろうから、その間、私が愛撫していてあげる」
モリガンさんは、私の唇を吸いたてながら、乳首をこりこりとすり合わせてくれている。
「ああ・・・うああああっ!!」
激痛とは聞いていたが、痛みは、この世ならざるものだった。
「うあっ!・・・ひっ!・・・いぎゃああああああああっ!!!」
「そう、頑張って。私が付いているわ。貴女は、誰にも負けないくらい綺麗になるわ」
綺麗。
その言葉が、萎えかけていた私の気力を蘇らせる。
そう。
私は、綺麗になりたいの。
麻宮アテナは、生まれ変わるの。
綺麗になるの。
膣から卵黄に包まれた卵の先端が見えてきた。
<そして…>
「そう・・・その調子よ。もう一息」
「ふうううううううっ!!!・・・ふううううううっっ!!!」
卵は、ゲル状の物体に包まれ、一つまた一つと地上に産み落とされていった。
「ひぎっ!・・・ひぃっ!・・・ひぐひぐひぐ・・・イク、イク、イク、イク、イクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーっ!!!」
最後の一つが落下するのを見て取ると、モリガンさんはエクスタシーを歌うように呟いた。
「うふふ、素敵。見ている私が、イッてしまいそうなくらい」
「私・・・きれいですか」
「ええ・・・とっても。とても綺麗よ、アテナ。生命を産み落とす時、それは、女が最も輝く瞬間ですもの」
私は、ついに綺麗になった。
− 終劇 −
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